冷風機(?)はすこぶる快適である。
宿のオヤジ(マネジャーっぽいインド人改め)が
日中はファンだけで十分だと言ってたが、
おかまいなしに、全開にしてる。
その夜、寝る前も快適な環境で本を読んでいた。多少音はうるさいが。
ところで話は少し変わるが、デリーに来てから、テレビ付の部屋に泊まっている。
チャンネルが100種類あって、ハリウッド映画専門のチャンネルもいくつかあり、
「ウオー、これ昔見たなー懐かしいなー。」とか
「ウオー、これ見たかったんだよなー。」とか
とにかく、飽きない。
アニメ専門のチャンネルもいくつかあり、
「スラム ダンク」の英語吹き替え版とか、「ドラえもん」のヒンドー版とか、
でも主題歌とかは日本語のままなので、大黒マキの「あなただけみつめてる(?)」を
聞きながら、ひとりでジーンとなっていた。
それも、眠れない理由になっていた。
夜中すぎになると、必ず、ドアがノックされる。
「こんな時間に誰や?」
とドアを開けると、決まって手下が立っている。
「テレビのボリュームを下げてくれ」と。
結構気を使っているつもりだが、ファンの音もうるさいし、
特に字幕がない時は少しボリュームが高めになっていたかもしれない。
ある晩またドアがノックされた。また手下かいなと思いつつ、
「OK.OK」
と叫ぶ。普段なら、それで済むのだが、またもノックする。
「手下。どんだんずよ。」
とドアを開けると、20代の白人女性がバスタオル1枚で立っていた。
表面上は平静を装い、
「ハーイ」
と言ったが、頭の中では
「えっ!なんなんだこの設定は?
この子は部屋を間違えたのか?
それとも、以前から僕の事を気に入っており、誘惑または夜這いに来たのか?
いや待て、これはなんかの罠だ。きっと背後に男がいて襲われるんだ、俺は。助けてーーー。」とその間数秒。女性の言葉を待つ。
「朝の4時なんですけど
」といって女は立ち去った。
つまり、テレビの音がうるさかったようだ。
手下には絶対言わないが、その子には、
「SORRY」
と言って、ドアを閉める。インド人には絶対ゴメンとは言わないようにしている。
ベッドに戻り、時計を見ると、3時15分。
「どっちかっていうと夜3時だよな。朝4時って、ずいぶんはしょるなー。きっと、B型だな。」
とテレビを消した。まあ夜遅いことには変わらない。
で、その日から深夜のテレビは自粛して、以前のように読書に戻した。
やっぱ、テレビばっかみてるとだめだ。アホになると思った。
で話は戻り、冷風機の動いた夜である。
「津軽風雲録」という、津軽10万石の祖・津軽為信の1代記を読んでいた。
全国的に有名な戦国武将の伝記はほとんど読んでいたが、自分の出身地の
武将の本は以外と読んでいなかったなと、読みながら思った。
津軽弁が満載で、知ってるようで、知らなかった津軽の歴史を知り、
「たんげー、面白がったじゃ」(←多分あってる)
そんで、読み進んでると、突然真っ暗になった。
「停電かー」
と思った。バラナシでは毎日停電が数時間あったが、
デリーではさすがにインドの首都だからなのか、今のところ3週間いて、
1度だけあった。(もしかしたら、外出中にあったかもしれないが)
しかもすぐ復旧した。
たちまち、室内が暑くなる。しかもなんか変なニオイ、焦げた様なニオイがする。
ニオイは停電になる前から少し気にはなっていたが、ふと
「もしかしたら、火事か?」
と思った。ズボンを履いて、時計をみると、3時だった。
部屋を出ると、隣の部屋の電気が付いていた。
「あれ、停電じゃないのか。なんで俺の部屋だけ?」
とフロントに向かう。手下がソファで寝てるが、かまわず起こす。
手下は英語が弱い。
「マイ ルーム。ノー パワー。」
手下は眠そうで、訳わからんという顔をしてるが、
とにかく部屋まできてもらう。
3分程、スイッチを付けたり、消したりして、なんか調べているふりをしていたが、
結局原因はわからず、向かいの部屋に変わる事になった。
「懐中電気みたいのないの?」
と聞いても、
「ない」
という、
「ないわけないやろ。それっぽいのがなんかあるやろ。ロウソクとかでもいいし、なんか明かりが」
と思いながら、暗闇の中、荷物を移動する。
ライターにライトがついてるのを思い出すが、真っ暗で見えない。
なんとか、見つけ口にくわえながら、荷物を移動する。
その間手下はボケーと、眠そうに突っ立てる。
まあ、下手に手伝ってもらって、なんか無くなってたらや面倒だし、ほっといた。
部屋の移動が済んだが、新しい部屋の冷風機は、手下がいじっても、ウンともすんともいわない。
「OK、明日の朝、直すよ」
といって、手下は去っていった。
またもや、ファンのみになってしまい、「デリーの眠れない夜」は続く。
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